<モンポケえほんシリーズ>ピカチュウとはじめてのともだち 作/まつおりかこ

定価:本体1,000円+税〈小学館〉好評発売中!

ポケモンとまつおりかこさん

モンポケ初の絵本を手がけたまつおりかこさんは、
「いつつごうさぎ」シリーズや『たからもののあなた』(すべて岩崎書店)など、
数々のヒット作を手がける人気絵本作家。
そんなまつおさん、実は小学生の頃から『ポケットモンスター』シリーズのファンだった!?
ポケモンとの出会いや、ポケモンへの愛、
さらにはこのモンポケ絵本にまつわるエピソードをおうかがいしました。


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前編


ポケモンは子どもに「真剣に向き合ってくれる」
― 初めてポケモンに触れたのはいつですか?
まつお:私が小学生の頃にちょうど『ポケットモンスター 赤・緑』が発売されたんです。アニメも始まったこともあり、すぐに学校中にブームが起こりました。私はポケモンのアニメもよく見ていましたが、特にゲームにハマり、家ではもちろん、出かける時もゲームボーイをよく持ち歩いて、隙さえあればゲームをしている小学生でしたね。魅力的なポケモンたちと一緒に冒険に出られるという高揚感。今でもあの時の熱中していた感覚を覚えています。そこから今まで、リメイク版を除けばほとんどの『ポケットモンスター』シリーズをプレイしました。だから、自分にとって昔から大切な存在であるポケモンの絵本のお話をいただいて、とても嬉しかったです。
― そうだったのですね! それにしても、なぜそこまでハマったのでしょうか。
まつお:いちばんは、魅力的なポケモンが数多くいて、自分にとってのお気に入りの子と出会えること。大事に育てたポケモンと自分自身とで一緒に旅をするという設定が、単純に楽しいと感じていました。
あとは、子どもの頃は特に意識していなかったのですが・・・今思うとポケモンは、「子どもに真剣に向き合ってくれている」からだと思います。


― 真剣に向き合ってくれている?
まつお:言いかえると、物語が「子どもだましではない」ということでしょうか。例えば、ゲームをプレイしていると、道端で遭遇する普通のトレーナーや町の住人が、リアルな人間と同じような思考を持ってこちらと会話してくれるんですよね。世の中には色々な人がいて、ひとりひとりが違った思考をそれぞれ持っている。そのことを私は子どもの頃にポケモンを通して自然と教えてもらった気がしています。
― やまおとことか、むしとりしょうねんたちですね。
まつお:そうです! 正直、子どものころはそういうキャラのセリフを「深い」とは受け取っていなかったです。でも大人になってから見てみると、このキャラはすごくいい言葉を私(プレーヤー)に言ってくれていたんだな、と感激したりします。また、ライバルや敵キャラもそれぞれの思いや信念をもとに行動をしていて、この世は正義と悪にきっぱり分けられるほどシンプルではない、人の数ほど思いがあるということを、ポケモンは教えてくれている気がします。そういった細かいところから、ポケモンの作り手側がこちらと真剣に遊んでくれている空気を感じていました。それが、「向き合ってくれている」ということです。だから、ポケモンって子どもはもちろん、大人にもファンが多いのかなと。

そういえば、私が子どもの頃、いちばん好きな『ポケットモンスター 金・銀』をやっているときには、父親も一緒にプレイをしていたんです。スイクンやライコウ(注:伝説のポケモン)に会えた時や逃げられた時、ついにゲットした時には一緒に興奮を分かち合ったり、ゲームの進み具合をお互いに報告し合ったりしていました。
― そんな子ども時代からポケモンファンのまつおさんですが、今回モンポケの絵本をつくる、というお話があったときはどう思われましたか。
まつお:ポケモンとお仕事をするのは、胸の隅で思い描いていた夢のひとつだったんです。それが叶ってうれしい気持ちがひとつあります。それから、もしかしたら小さなお子さんにとってはこの絵本が「ポケモンの入り口」になるかもしれないという気持ちが強くありました。私が小学生の時にポケモンに出会って夢中になった気持ちに、この絵本を手にした子どもたちがなってくれればうれしいです。




後編


みんながおたがいの個性を認め合うポケモンの世界は、やさしくて、あたたかい
まつお:それと、ポケモンの世界に私が感じているのが「優しさ」です。その理由がなんなのか思いをめぐらせると、子どもの頃に見たポケモンの短編アニメ映画の影響が大きいのかもしれません。短編映画は人間ではなくポケモンたちだけにフォーカスを当てていて、多種多様なポケモン同士で自然に仲良くなって遊んだり、でも時にはいざこざもあったり、という物語。そして、最終的には協力し合って課題を解決する。そんな姿を見ていると、みんながおたがいの個性を認め合うポケモンの世界は、優しくて、あたたかいなあと思うんです。
― 続いて絵本の内容についてお伺いします。
この絵本の中で、まつおさんが特にこだわって描いたポイントはどこでしょうか?
まつお:ひとつはピカチュウやデデンネの「赤いほっぺ」です。ぺたっとした風合いの塗りが本来のデザインですが、自分のタッチでははっきりとした輪郭線はなくし、ほわっと浮かぶような、にじんだ表現にしています。アナログ画材独特のタッチを出したかったのと、優しく柔らかな雰囲気にしたかったためです。
また、私なりのタッチとして目にはうっすらと、それぞれのポケモンに似合う色や、私の中のイメージカラーを少しだけ入れています。元気いっぱいなピカチュウはオレンジ、きっとかわいいものが好きであろうイーブイにはピンク……というように。
― 絵本に登場するポケモンの中で、特にお気に入りのポケモンはいますか?
まつお:この絵本を描いているうちに、デデンネがとても好きになりました。この本に登場するデデンネは少し自分と性格が似ているので、親近感がわいてきたのかもしれません。お気に入りのシーンは、こわがりなデデンネがピカチュウを助けるために勇気をふりしぼって声をかけるシーンと、最後にちょっと驚くシーン。「うわぁ〜」と泣き叫ぶ表情が私的にかわいいなと……。内気でこわがりなデデンネが、元気で好奇心いっぱいなピカチュウと友達になったことで、これから一緒にどんな体験をしていくんだろうと想像すると、楽しみです。



「じぶんにぴったりすてきなばしょ」をこの広い世界で探してほしい
まつお:今回、物語の中にさりげなく私からのメッセージも入れているんです。
― メッセージでしょうか?
まつお:「うみの どこかに じぶんに ぴったり すてきな ばしょが きっと あるはず」
この絵本の冒頭、ピカチュウが船に乗っているシーンの言葉です。
この絵本を読み始める子どもたちは、まだまだこれから世界が広がっていく、可能性に満ちた時期だと思います。ただその頃って、その時置かれている状況や環境が、世界のすべてだと思いやすいものでもあると思います。そこが居心地のいい世界であればすてきです。でも、もしもそうではない場合、もしくは将来そうではないと感じるときが来たとしても、いまいる場所よりもすてきな場所がどこかにあるんだということを、心のすみっこに留めてもらえたらという願いをこめています。

ピカチュウがもんぽけじまという自分にとって居心地よい場所を、自分で探して見つけたように、読者の方にとっての「じぶんにぴったりすてきなばしょ」を、この広い世界でどうか探して生きてほしい。何気ない言葉に聞こえるかもしれませんが、私からの隠れたメッセージです。




Profile


まつおりかこ

1989年生まれ。東京都在住。女子美術大学版画コース卒業。
小学生の頃に出会って以来、ポケモンが好き。
主な絵本作品に『いつつごうさぎのきっさてん』
『いつつごうさぎとうみのほうせき』『たからもののあなた』(すべて岩崎書店)
『おふろだいすき!しろくまきょうだい』(教育画劇)
『すてきなおくりものなかみはな~に?』(永岡書店)などがある。

https://horo.ifdef.jp
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